無機質な同系色の背景ボードで商品を際立たせる
今回のコンテンツシーンは古道具。古き良き時代の古道具を取り扱うショップの広告ビジュアルという設定で撮影。背景に使用したのは独特のテクスチャを施したGRAY backgroundと、錆を連想させる複雑な色味のRUST background。どちらもグレーを基調とした色味が入っている背景ボードです。古道具の色味がシンプルなので同系色の背景ボードを合わせることで商品が際立つビジュアルになりました。特にシルバーの鍋や食器が程よく光っていて写真のアクセントになっています。
Styling｜用の美を表現
調理道具の撮影するなら、使いたいと思っていたボードは心に決めていました。
よく使い込まれた厨房を連想させる、鉄のような質感のRUST。
もう１枚はGRAYを使って、ストイックな料理人の自宅キッチンの壁をイメージ付けしました。
スタイリングでは、ステンレスやアルミ、真鍮など、冷たい質感ばかりになってしまいがちな調理グッズに、
木製の乳鉢を加えてあたたかみとアクセントを加えたことです。
（Text：PERCOLATOR）
Lighting｜窓から漏れる柔らかい光を、自然光とLED照明だけで作る
今回のライティングは窓から差し込む自然光と、LED照明1灯のみ。自然光は明るすぎないよう、ロールスクリーンで調整しなんとなくぼんやり明るい程度に抑えています。メインとなるライトには300WのLEDライトを使用。バーンドアを付け、光を狭くして窓から漏れる自然光を演出。LEDライトの色温度はMAXの6500K（ケルビン）に設定。あえて青みがかったイメージにしています。
全体のライティング。窓から差し込む自然光はライトと同じ方向だけに限定。あくまでも全体をふんわり照らす程度にしています。さらに同じ方向からバーンドアを付けたハードライトを後ろから商品に当てています。光と反対方向には黒のカポックを。キレイに商品を見せるというより光をできるだけ抑えイメージを伝えるビジュアルに徹しています。
こちらがバーンドアのイメージ。上下左右の羽をできるだけ細くして光を制限しています。こうすることでピンポイントに太陽光が漏れているイメージを作っています。
撮影メイキング
今回は柔らかく鈍い光を再現するため、自然光とLEDライトを組み合わせて撮影しました。自然光とLEDは非常に相性のいいミックス光を作り出してくれます。さらに色温度を変えることができるのもLEDライトの優れた点です。一点だけ難点なのが光量。300WのLEDライトでMAXに照射してもブレるくらいのシャッタースピードになるので注意が必要です。LEDでの撮影は、ISO感度を上げての撮影をおすすめします。
使用ライト：Aputure LS 300X 1灯（LEDライト）
使用機材：HASSELBLAD X1DⅡ50C／XCD120mm Macro
撮影データ：f4.5 1/50 ISO400 色温度 4200K RAWデータで撮影後Photoshopで調整
ビジュアルイメージ
PPC広告用のバナーデザイン、WEBサイトのメインビジュアル、SNS告知イメージです。全体的に同じトーンの色で統一されていて雰囲気が出ています。絞り開放で撮影しているため後ろのGRAYボードが程よくボケているのもいいですね。やっぱり自然光とLEDライトの組み合わせはストロボと違い、柔らかくふんわりしたビジュアルになります。ぜひお試しください。
Photograph／Visual Design：KYOSUKE YAMAUCHI（ONKOKENSHIN）
Styling：PERCOLATOR
