爽やかなIncenseを、テクスチャのある背景とミックス光で表現する

今回は東京にある薫物屋香楽を運営する「株式会社みやび」様にご協力頂き、同社のブランド「1ROI(イロアイ)」のビジュアル撮影を行いました。撮影した商品はIncense「Puddle the sun」。血液拡張作用があり清涼感のある香料龍脳に、シナモン、ウコン、クローブや歯磨き粉のフレーバーにも使われるスターアニスなどを使用。スッキリとした一日の始まりをイメージするお香です。

採用頂いた背景は独特のテクスチャが効いたWHITE background。白の中にうねりがあり細かいテクスチャが入っているためフラットな背景とは違い、写真に存在感が加わる背景ボードです。

1ROI イロアイ お香

Visual image|朝陽を浴びながら、船を漕ぎ出すイメージで

はじめに、商品ボトルの水色と白を基調にイメージを考えました。インセンスの商品名は、「Puddle the sun」。翻訳すると、太陽の水たまり。WHITE backgroundを大きな海に、その繊細なテクスチャを波のうねりに見立てました。窓からの自然光だけでもまずまずな印象ですが、太陽がたりません。朝陽を浴びながら、船を漕ぎ出すというイメージで始めてみました。

お香の撮影方法 ライティング

撮影メイキング

WHITE backgroundは、90×90cmの正方形サイズ。このボードの特徴は、パターンとテクスチャがところどころに違うところ。ここから海に見立てたボードの、波にあたる部分を探します。できれば波のラインは縦方向で、なだらかな方が良い。商品を置き、ボードを何度か回転しながら、見つけていきます。これでセッテイングは完了です。

撮影場所の窓は、二面採光。カメラから見て、反対側と右側に窓があります。ボードに当たる自然光でもまずまずな印象ですが、もう少し強い光がほしいところ。そこでキーライトのストロボ「Profoto C1プラス」を加えます。ここで着目しているのは、手前にあるボトルの影。影の方向と長さ、濃度を丁寧に探りながら、照明を調整していきます。この時、光が全体に拡散しないよう、照明にグリッドを重ねています。光を加えることで、ボードのパターンとテクスチャも出てきました。

お香の撮影方法 ライティング

こちらがカメラの反対側から見た状態。Profoto C1プラスのストロボ光が商品に当たり、強い太陽光のような影を作っています。

お香の撮影方法 ライティング

次に、カメラのシューにストロボ「Profoto A10」を取り付け、手前のボード、商品のボトルや香炉を明るくしていきます。レフ板もありですが、細かく光をコントロールできるA10を選びました。照明を天井に向け、全体の調子を見ながら完成です。

余談ですが、A10は料理でいう最後の味付け。ストロボ光を加えることで、写真全体がキリっとした印象になります。

1ROI イロアイ お香

完成ビジュアル

「Puddle the sun」の、海をイメージさせるパッケージと、インセンスとしての爽やかさが際立つビジュアルに仕上がりました。波や砂をイメージさせるWHITE backgroundのテクスチャが効いています。ストロボで表現した強い太陽光もいいアクセントになっています。全体的に白でまとめることでお香そのものの色や質感、存在感が飛びこんでくる写真になりました。

使用ライト:自然光/Profoto C1プラス/Profoto A10
使用機材:SONYα7SⅢ/FE 24-105mm F4 G OSS
撮影データ:f8 1/60 ISO1600 RAWデータで撮影後Photoshopで調整

Photograph:和田剛(Photographer)

 

INTERVIEW

※聞き手:和田 剛(和)/話し手:株式会社みやび 取締役 片山 斉氏(片)

(和)今回はご協力ありがとうございます。はじめに会社の情報を教えて下さい。
(片)はい。まず屋号が「薫物屋香楽(たきものやからく)」。株式会社みやび取締役の片山斉です。お香の製造と卸、ならびにお香教室の運営をしています
(和)ありがとうございます。今回このPhotobackgroundというテクスチャのある背景ボードで撮影しましたが、実際に撮影した写真を見てご感想はいかがですか。
(片)立体感が出ていて質感がありますよね。この波もそうですけど、砂のように見えるところが余計に立体感があり、質感があるのかなと思いますね。
(和)今まではあまり凹凸のないような背景を使っている写真を見たのですが、それと比べて、こちらは個性があります。どうでしょうか?
(片)いいですね。質感がいいですよね。立体的なところが。このPuddle the sunのパッケージと良く合っているという感じ。遠目に見ると白いビーチじゃないけど、白いサンド(砂)に見えるから。パッケージのタイトルとマッチしていいですよね。
(和)たしかに香炉の中に入っている白い砂は、本当にサラサラしてますよね。今まで商品の撮影を依頼することは多々あったと思いますが、嬉しかったことや、困ったことなどあれば教えて頂きたいです。
(片)イメージと違うというのは、それはもう普通にありますよ。お任せしたら全然イメージと違うという。嬉しいのは、もちろん綺麗に質感を出して撮っていただけるというのは嬉しいですよね。
(和)ありがとうございます。やはりどうしても時間の制約だったり、場所の距離だったりとかで、商品をお送りしてリモートで撮影というケースが多いのですか?
(片)そうですね。
(和)「こういうイメージで撮って」っていうのは、例えば立体感があるようにとか、雰囲気があるようにと、言葉で伝えるのは難しいでしょうか。
(片)本当に何ていうのかな。プロのカメラマンにお任せをするのですけど、商品自体のイメージと違うというのは過去ありましたよね。もちろん良いイメージの写真ができた場合は嬉しいですし、綺麗に撮っていただいて質感がわかるというのはいいですし、今回の写真もすごく良いですよね。製品イメージに合う感じがしますよね。どうもありがとうございます。
(和)ありがとうございます。

1ROI イロアイ お香
1ROAI

1ROI(イロアイ)は、香りをとおして、心を整える時間を提案するブランドです。 1ROIのルーツは、「和の香り」お香。 香りの世界では、楽しむことを「聞く」という。 心を傾けて香りを聞く、心の中で香りをゆっくり楽しむ。 写真はPuddle the sun ~ morning spice mix ~。1日のスタートに。やる気を高めたい時に。朝陽を漕ぎたくなるような、パワフルで刺激のあるスパイシーな香りが特徴です。